東京都を地盤とする地方銀行「きらぼし銀行」を傘下に持つ東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)は8日、都が投じた400億円分の公的資金を2026年内にも前倒しで返済すると発表した。これまでは2028年度までを返済目標にしていたが、経営効率化などで返済原資を確保するめどが付いた。石原慎太郎元都知事が主導して設立した旧新銀行東京の「負の遺産」がようやく清算される。
旧新銀行東京への公的資金投入の経緯
都の公的資金は、きらぼし銀行の前身の一つで、2005年4月に開業した「新銀行東京」に投入されていた。その後、他の地銀との経営統合などを経て設立されたきらぼしFGが公的資金の返済も引き継いでいた。
公的資金が投じられたきっかけは、旧新銀行東京のずさんな経営実態にあった。元々は中小・零細企業の資金繰りを支援するため、当時の石原都知事が2期目を目指す選挙公約に掲げ、2005年に都が1000億円を出資して開業した。無担保無保証で融資を伸ばしたが、甘い審査で不良債権が拡大し、経営が悪化の一途をたどった。開業からわずか3年で累積赤字が1000億円超に膨らみ、2008年12月には金融庁の業務改善命令も受けた。同年に都が400億円を追加出資した際には、石原氏が都議会で「深くおわび申し上げる」と謝罪。最後は、他の地銀と経営統合したことを受け、都は撤退した。
効率化と投資、金利上昇の追い風で悲願達成
公的資金の返済を引き継いだきらぼしFGは2024年3月公表の中期経営計画で、400億円分の公的資金を2028年度までに返済完了する目標を掲げていた。2年前倒しの返済について、きらぼしFGの渡辺寿信社長は8日の記者会見で、「徹底的な効率化と収益分野への投資などに加えて、政策金利上昇の追い風もあり悲願(の公的資金返済)を達成した」と説明した。
きらぼしFGが同日発表した2026年3月期決算は純利益が前期比35.0%増の423億円だった。2027年3月期の純利益は同5.5%減の400億円を見込む。



