「今でもペルシャ湾に留め置かれた船舶に乗船中の仲間が少しでも早く安心できる海域に出てほしい」――海運大手日本郵船の曽我貴也社長は、登壇した講演でこう語った。イラン情勢は依然として緊迫した状況が続き、今月に入っても、日本関係船41隻がペルシャ湾内に留め置かれている。それらの船に乗る乗組員約1千人が湾から出る時を待つ。曽我社長の思いは、80年以上前に「先輩」を失った過去を踏まえた平和への願いだった。
講演会での発言
東京ビッグサイト(東京都江東区)で4月に開かれた海事産業や海運関係者らが参加した「SEA JAPAN」の講演会。「海運の未来」と題した特別講演に登壇した曽我社長は、環境性能を高めた船舶などの最新技術を紹介した。その最後、ホルムズ海峡を巡る問題に一言触れますと前置きした上で、こう語り出した。
「私たち日本の海運はかつて、太平洋戦争において多くの船舶を戦時輸送に徴用され、そのほとんどが海になくしてしまいました」
太平洋戦争の教訓
太平洋戦争時、民間の船は次々と戦時輸送に徴用され、多くの船が沈没した。日本郵船も例外ではなく、多くの船と乗組員を失った。曽我社長は「5千人もの先輩が命を落とした」と述べ、その経験から平和な海の重要性を強調した。現在のペルシャ湾の緊張は、過去の悲劇を繰り返さないために何をすべきかを考えさせるものだと語った。
曽我社長は、海運業界が持続可能な平和を築くために、国際協調と安全確保の取り組みを続ける必要性を訴えた。また、最新技術の導入も、安全な航海と環境保護に貢献するものだと述べた。
この講演は、参加者に深い感銘を与え、平和への思いを新たにする機会となった。日本郵船は今後も、歴史の教訓を胸に、安全で平和な海運を目指して努力を続けるとしている。



