ふるさと納税の仲介サイト事業者に対して自治体が支払う手数料について、林芳正総務相は12日、制度の本来の趣旨を損なう恐れがあるとして、事業者に引き下げを求める方針を示した。寄付額の半分近くが返礼品費用や手数料などの経費に充てられている現状を改善し、自治体が実際の事業に使える割合を増やす狙いがある。
総務相、月内に事業者団体へ要請
林総務相は閣議後の記者会見で、手数料に関する自治体への調査結果を公表し、「税制上の控除を利用して集めるふるさと納税は公金であり、行政サービスの充実や地域振興のために活用されるべきだ」と強調した。月内に仲介サイト事業者の団体に対し、手数料の引き下げを正式に要請する予定だ。
調査結果:手数料1379億円、寄付総額の1割超
総務省の調査によると、2024年度に全国1788自治体が受け付けた寄付総額1兆2728億円のうち、94.5%にあたる1兆2025億円が仲介サイトを経由して寄付された。このうち、事業者に支払われた総額は2559億円で、その内訳として広報費や事務費などの手数料とみなされる額が1379億円に上った。残りは返礼品の調達費用や送付費用などが含まれる。
ふるさと納税制度の課題
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付すると、2000円を超える部分が居住地の住民税や所得税から控除される仕組みだ。地域振興に貢献する一方で、返礼品目当ての寄付が多く、自治体間の返礼品競争の激化や税制のゆがみが批判されている。また、多額の寄付金が行政サービスの向上ではなく返礼品などの経費に充てられる問題も指摘されてきた。
自治体の事業費割合、目標60%へ
総務省によると、寄付金のうち自治体が実際の事業に使う割合は2024年度実績で53.6%にとどまる。政府は2029年度までにこの割合を60%に引き上げる目標を掲げており、今回の手数料引き下げ要請もその一環とみられる。
林総務相は「ふるさと納税が本来の目的である地域振興に資するよう、手数料の適正化を図る必要がある」と述べ、事業者側の協力を求めた。今後の動向が注目される。



