「映像の世紀」30年以上の歴史 今の世界を知る手がかりを提供
「映像の世紀」30年以上の歴史 今の世界を知る手がかり

激動の20世紀を膨大な記録映像で再構成するNHKのドキュメンタリー番組「映像の世紀バタフライエフェクト」(総合、月曜午後10時)は、シリーズ開始から30年以上が経過してもなお、根強い人気を誇っています。その背景には、単にアーカイブ映像を流すのではなく、「今の世界を知る手がかり」を視聴者に提供する制作陣の強いこだわりがあります。

昭和天皇の回がSNSで話題に

3月末には前後編で昭和天皇の生涯を追跡しました。戦後、庶民との会話に不慣れだった天皇が、全国を視察する「地方巡幸」で人々の話を聞き、「あ、そう」と答える姿が放送されると、交流サイト(SNS)上で多くの投稿が相次ぎ、80年前の流行語が時を超えて再び注目を集めました。

田辺裕也チーフプロデューサー(CP)は、「映像の持つ時代の空気感は非常に密度が濃い」と語り、番組制作では視聴者が「歴史を追体験する感覚」を得ることを狙っていると説明します。

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「映像の世紀」の歴史と進化

「映像の世紀」は1995年にNHKスペシャルとして初めて放送されました。その後も定期的に新作が制作され、2022年度からはタイトルに「バタフライエフェクト」を加え、レギュラー番組として定着しました。この言葉には、一人ひとりの営みが時空を超えて大きな出来事を引き起こすという意味が込められています。

多様なテーマと現代との関連性

今年だけでも、沖縄、歌舞伎、ローマ教皇など、さまざまなテーマで放送を行ってきました。特に得意とするのは、最近の世界情勢と関連する国々を取り上げ、その歴史的経緯を明らかにする手法です。

昨年、米国で第2次トランプ政権が発足してからは、米国関連の内容が増えています。米国が今年1月にベネズエラ、2月にイランを攻撃したことを受け、5月18日には「中南米とアメリカ 因縁の60年」を放送(28日午後11時50分から総合で再放送予定)、6月1日には「イランとアメリカ そして日本 石油をめぐる100年」を予定しています。田辺CPは、「世界が目まぐるしく動く中、なぜ世界がこうなっているのか」を視聴者に問いかけたいと述べています。

映像を主役にした独自の見せ方

見せ方にも徹底したこだわりがあります。2024年に放送された「映像記録 東京裁判」では、計100時間分のフィルムを基に、法廷の映像のみで構成。沈黙を貫いた広田弘毅元首相をはじめ、A級戦犯たちの立ち振る舞いから、各人の戦争の捉え方を浮き彫りにしました。田辺CPは、「説明ありきで映像を使うのではなく、映像からすべてを考えるという発想で制作している」と解説します。

語り手のこだわり

その姿勢はナレーションにも表れています。2023年度から担当する糸井羊司アナウンサー(三重県四日市市出身)は、「視聴者と横に並んで一緒に見ている感覚」を意識していると語ります。「ハキハキと説明してしまうと視聴者の興がさめてしまう。主役である映像を邪魔しない語りを心がけている」と明かします。

自身も映像を撮るのが好きで、毎回の収録を楽しみにしているという糸井アナウンサーは、「個人の歴史と日本や世界の歴史が映像で見ることでつながる瞬間がある」と番組の魅力を語ります。

今後の展望

今年8月には戦後81年を迎えます。田辺CPは、「“新しい戦前”といわれる今、戦争を起こさないためにできることは何かを伝えることが大事」と強調。同月には「陸軍と海軍」や「ブロック経済」といった切り口も検討しています。「取り上げていない国や地域、ジャンルはたくさんある。この複雑な世界をもっと知ってもらうため、手を広げていきたい」と意欲を示しました。

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